裏側には「1958」の文字が誇らしげに浮き彫りにされています。昨今のスーパー
ディテールのモデルを見慣
れた目と腕では、とても「ヤッテラレナイ」という感覚になるでしょう。こんな時代遅れの製品を未だに出荷し
続けている神経って、エアフィックスはどんなつもりなんだろう。私はなんだかすごくおおらかなものを感じる
ので好きですけどね。
でも作るのはけっこうめんどくさい!というより、ちゃんとしたデティールのモデルと
して
完成させねばならぬ、という
固定観念にとらわれて手が先に進まない…というのが正直なところか。分厚い主翼とアンバランスな薄っぺらい尾
翼や主脚柱、貧弱な主車輪、しょぼいプロペラ中心部や、がらんどうでな〜んにもはいっていないコックピット、真ん
中の赤丸がずれて印刷された蛇の目マークのデカール……。ほんとにもう、作りようがないよ。主翼の翼間支柱も、
一本一本独立しているのはともかくとして、一本一本長さも太さも微妙に違ってる。上翼の取り付け角度が決まらな
くて、どうにもならない。説明書には66°なんて書いてるってことはそれを分度器かなんかで測ってつけろって意味だ
よねぇ。そんなのムリだっちゅーの!結局もっときつい角度がついてしまったようです。
とはいえ、楽しませてもらいましたよ、もちろん。
一応、全体のプロポーションは捨てたものではないでしょう。なんだか上の方へ跳ね上
がった機体後部や、
信じられない格好をしたエンジン上部のエアインテーク,直角に曲げて上翼の上にはみ出した排気管など、
よく考えてみると変すぎるスタイルをけっこう的確に表現しているような。
がらんどうのコックピットは、もちろん追加工作なんて一切していません。(面倒くさ
いし、後からはほとんど見ら
れないんだもんね)petchuunenスタンダードに基づいて、フィギュアに座ってもらってボロ隠しをするのです。今
回ジャンク袋から現役復帰を果たしたパイロットは、(たぶん)中学校の時に作ったレベルファイターシリーズの
スピットファイアについてきたものを薄め液のお風呂に入ってもらってお化粧直しをしました。射手は誰だか覚え
ていませんが、たぶん70年代に入ってからエアフィックスのスタンダードとしてどのキットにも同じ顔をして入って
きていたお方の一人です。我ながら物持ちがいいもんだ。
しかしなんといってもこの機体の白眉は上翼の上にまではみ出した張線でしょう。同時
期(1917)に活躍した戦闘機など
と比べてデカイ図体を支えるのにこんな形にしたのか知らん?翼上の支柱は部品がセットされていないので、伸ばしラ
ンナーで自作しました。ついでに後部座席のターレット?もプラ板から切り出してみた。もちろんフリーハンド。
正面から見るとこんな感じ。この当時としても時代遅れっぽい設計だったみたいです。
もとはといえば、BE2という
偵察機のリメイク版だったらしい。一度いいと思ったものは頑固に使い続けるイギリス人気質をかいま見る思いで
す。ごちゃごちゃの張線は全部で32本。これでも主脚柱の張線は省略。どうやって張ればいいのかまだ研究中で
す。
何しろ「完成」して、よかったよかった。